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【ヘルニア療養1年の失敗談】動かしすぎ・焦りすぎ・期待しすぎで悪化させた3つの反省点

目次

この記事で得られること

  • ヘルニア急性期に「動かしすぎる」ことの危険性と、なぜ多くの人が同じ失敗をするのか
  • 「動かしすぎ↔寝たきり」の極端なループから抜け出すためのバランスの考え方
  • 治療だけに人生を賭けないという、療養生活で最も大切な視点

導入:健康経営を推進していた人事が、自分で倒れた話

大手企業で10年、人事部や新規事業担当部署で働いてきました。転職先では健康経営優良法人の認定取得に向けた基盤作りを担当し、「従業員の健康を守る制度」を設計する側にいました。

その私が、椎間板ヘルニアの坐骨神経痛で倒れました。

皮肉ですよね。健康経営を推進する側だったのに、自分自身の健康を守れなかった。しかも療養は約1年。今振り返ると、もっと早く回復できたはずなのに、自分の判断ミスで長引かせてしまったと痛感しています。

この記事は、同じ失敗をしてほしくないという思いで書いています。ヘルニアの療養情報は断片的なものが多く、体系的にまとまったものがほとんどありません。医師も理学療法士も、明確な「正解」を教えてくれないことが多い。だからこそ、1年間の試行錯誤で得た教訓をそのまま共有します。

制度を作るだけでは、人は守れませんでした。自分自身を守る知識がなければ、どんな制度も意味がない。それが1年かけて学んだ、最も痛い教訓です。


反省点①:急性期に動かしすぎた——リハビリの「善意」が悪化を招く

このセクションのポイント: ヘルニアの急性期は「とにかく安静」が鉄則。しかし、リハビリやブロック注射の仕組みを知らないと、善意のアドバイスに従って悪化させてしまいます。

なぜ動かしすぎたのか

ヘルニアと診断された直後、私は「治すためにはリハビリだ」と考えました。自宅近くの、リハビリやデイケアがある比較的規模の大きな整形外科に通い始めました。

そこで言われたのが、「筋肉が不足しているから運動した方がいい」というアドバイスです。

それまでの私は、仕事の忙しさや花粉症を理由にほとんど運動をしていませんでした。だから「運動不足が原因なら、運動すればいい」と素直に受け止めて、急に歩き始めました。1時間、1時間半。運動ゼロの状態から、いきなりです。

今の知識で振り返ると、これが最大の判断ミスでした。

「急性期」と「慢性期(安定期)」の違い

ヘルニアの療養で最も重要なのは、急性期と慢性期を区別することです。

急性期 慢性期(安定期)
状態 炎症が強い・痛みが激しい 痛みが落ち着いてきた
やるべきこと 安静・消炎 段階的なリハビリ・運動療法
やってはいけないこと 無理に動かす・ストレッチ 動かなさすぎる・筋力低下
期間の目安 発症〜数週間 痛みが落ち着いてから

ぎっくり腰でも同じですが、急性期に動かしすぎると炎症が拡大します。私はまさにそれをやってしまいました。

ブロック注射の「落とし穴」

痛みが増したため、ブロック注射を受けました。仙骨ブロックと神経根ブロックの2種類です。

ブロック注射は、神経を一時的に麻痺させて痛みを取る治療法です。これ自体は有効で、注射だけで治る方もいます。しかし、痛みを感じなくなることの危険性を、当時の私は理解していませんでした。

たとえるなら、火災報知器が鳴っているのに、報知器だけ止めてしまったようなものです。火事は続いているのに、警報が鳴らないから「大丈夫だ」と動き回ってしまった。

ブロック注射後に、YouTubeで見たストレッチをしたり、散歩に出たりしました。痛みを感じないから、普通に動ける気がした。でも実際には、炎症は悪化し続けていました。

最終的に、歩けなくなりました

それでもリハビリに通い続けた

歩けなくなった状態でも、「リハビリに行かないと治らない」と信じて通い続けました。車に乗るのも激痛。唯一、電動自転車なら何とか移動できたので、電動自転車でリハビリに通いました。

到着すると、理学療法士に患部を動かされ、牽引(腰を機械で引っ張る治療)を受け、電気治療を受ける。痛い。でも「これをしないと治らない」と言われる。だからやる。

今振り返ると、急性期の炎症が治まっていない状態で、さらに刺激を加え続けていたわけです。


📌 ポイント:急性期の鉄則

  • ヘルニアの急性期はとにかく安静。「筋力が足りない」は慢性期の話
  • ブロック注射後は痛みがなくても動きすぎない。痛覚が麻痺しているだけ
  • 鎮痛剤・湿布で痛みを抑えて動くのも、同じ理屈で危険
  • 「痛いけどリハビリしないと治らない」は急性期には当てはまらない

反省点②:「極端」の繰り返し——バランスを見失った

このセクションのポイント: ヘルニアの療養は「動かしすぎ」も「動かなさすぎ」も悪化の原因になります。この絶妙なバランスを取ることが、回復の鍵です。

「全力で運動→完全に寝たきり」のループ

反省点①で動かしすぎた結果、私は完全な寝たきり状態になりました。トイレとご飯以外、何もできない。最初の1ヶ月は、文字通りベッドの上だけの生活でした。

主治医に相談したところ、こう言われました。

「まず1〜2週間、完全に休んでください。痛みが引くまで。」

そして続けてこう言われました。

「ただし、痛みが引いた後も動かなさすぎると、筋肉がなくなって、かえって痛みが増します。」

つまり、動かしすぎても悪化する。動かなさすぎても悪化する。このバランスを、理学療法士と相談しながら見極めないといけない、と。

食事改善でも同じ失敗をした

バランスの問題は運動だけではありません。栄養面でも同じ失敗をしました。

タンパク質が不足していると指摘されて、それまで糖質中心で何も考えていなかった食事を、朝昼晩すべてタンパク質重視に一気に変えました。

結果、体がびっくりして副反応が出ました

当然です。長年の食習慣をいきなり180度変えたら、消化器官が対応できません。

夜の運動も「やりすぎ」だった

療養中、毎晩1〜2時間の運動を半年以上続けていました。「回復のためには運動量を増やさないと」と考えていたからです。

しかし今振り返ると、筋肉の回復能力を超えた運動量だった可能性があります。運動しすぎると、かえって筋肉がつかなくなる。神経を刺激して症状を悪化させることもある。実際、療養の長期化にはこの「やりすぎ」が影響していたかもしれません。

失敗パターン 改善パターン
運動 運動ゼロ→いきなり1時間半歩く→寝たきり 10分の散歩から始めて、1.1倍ずつ増やす
食事 糖質中心→一気に全食タンパク質重視 まず1食だけ変えて、体の反応を見る
リハビリ 痛くても毎日通う→動けなくなる 理学療法士と相談し、頻度と強度を調整
夜の運動 毎晩1〜2時間を半年間 30分程度で切り上げ、翌日の体調で判断

📌 ポイント:「1.1倍」の法則

  • 一気に全部変えるのではなく、今の1.1〜1.2倍だけ変える
  • 運動量をちょっと増やす、食事をちょっと変える、新しいことをちょっと試す
  • 「ちょっとずつ」が、結果的に最も確実なルート

反省点③:「治すこと」に人生を賭けすぎた

このセクションのポイント: ヘルニアを治すことだけに集中すると、治療費で経済的に追い詰められ、精神的にも追い詰められます。「治療しながら生きる」仕組みを最初から作るべきでした。

毎月2桁万円の赤字という現実

ヘルニアで療養生活に入ると、収入はゼロなのに支出は止まりません

  • リハビリの通院費
  • 家賃
  • 住民税(前年の正社員フルタイム収入が基準なので高い)
  • 健康保険料(同上)
  • 生活費

毎月10〜20万円の赤字が積み上がっていきます。当初は「1年〜1年半で治す」という資金計画でしたが、10ヶ月が経過した時点でお金は想定以上に減っていました。

「早く治せば赤字が縮小できる」という焦り

この経済的プレッシャーが、さらに療養を歪めました。

「早く治さなければ」→「リハビリにもっと通わなければ」→「運動器具をもっと買わなければ」→「もっと情報を集めなければ」

毎日Google検索、AI検索、本を読み漁り、病院に通い、ヘルニアを治すことだけが人生の目的になっていました。

しかし今思うのは、ヘルニアは「治すもの」であると同時に「付き合いながら生きていくもの」だということです。

最初から「座れなくても生きていける仕組み」を作るべきだった

椅子に座れないからデスクワークに戻れない。これは事実です。でも、椅子に座らなくても仕事ができる仕組みは作れます。

実際、今この記事も音声入力で書いています。寝たきりの状態でも、音声入力ならコンテンツを作れる。もっと早くこの発想に切り替えていれば、療養しながら収入を得る道を模索できていたかもしれません。

【図解推奨:「治療一点集中」vs「治療+生活の並行構築」の比較フロー図】

治療一点集中(失敗) 治療+生活の並行構築(改善)
時間の使い方 1日中ヘルニアの情報収集 治療2〜3割、仕事の仕組み作り5割、生活2〜3割
お金の使い方 運動器具・治療費に集中投資 最低限の治療費+収入を得る手段への投資
精神状態 「治らない→焦る→無理する→悪化」のループ 「治療は長期戦」と受け入れ、他の軸で前進
10ヶ月後の結果 貯金が激減、まだ治っていない 回復しながら収入の柱が育っている

責任感が強い人、焦りやすい人ほど「早く治さなければ」と思いがちです。でも、ヘルニアは焦ったら長引く。逆説的ですが、ヘルニアを心配しすぎないことが、結果的にヘルニアの回復を早めるのかもしれません。


【健康経営の裏側】認定を取っても、人は守れない理由

ここで、人事の経験を踏まえた視点を少しだけ共有させてください。

健康経営優良法人の認定は、制度として素晴らしいものです。しかし、認定基準を満たすことと、従業員一人ひとりを本当に守ることは、イコールではありません。

認定基準を満たす 実質的に従業員を守る
健康診断 受診率の数値目標を達成 結果を元に個別フォローまで実施
メンタルヘルス ストレスチェック実施 高ストレス者への具体的な支援体制
運動習慣 啓発イベントの開催 腰痛・ヘルニア等の個別リスクへの対応
復職支援 制度の整備 座れない社員が働ける環境の構築

これは認定基準には書いてありませんが、制度を作った私自身が倒れたことで、身をもって学びました。認定を取ることがゴールではなく、制度の「すき間」に落ちる人をどう救うか。それが人的資本経営の本質ではないでしょうか。


まとめ:ヘルニア療養1年で学んだ3つの真実

① 急性期は動かさない。 リハビリもストレッチもブロック注射後の運動も、急性期には逆効果になり得ます。まずは炎症を鎮めることが最優先です。

② バランスは「1.1倍」で取る。 運動も食事も生活改善も、一気に変えると体が対応できません。今の状態から1.1倍ずつ、少しずつ変えていくのが最も確実な回復ルートです。

③ 治療だけに人生を賭けない。 ヘルニアは長期戦です。治療しながら生きる仕組み——座れなくても収入を得る方法、音声入力で仕事をする環境——を早い段階から並行して作ることが、経済的にも精神的にも自分を守ります。

今日からできる3つのアクション

  • 自分の状態を確認する: 今は急性期か、安定期か。急性期なら、まず休むことを最優先にしてください
  • 「変えること」を1つだけ選ぶ: 運動・食事・仕事の仕組み、どれか1つだけ「1.1倍」にする
  • 治療以外の軸を1つ持つ: 音声入力でメモを取る、寝ながらできる仕事を調べるなど、治療以外の「前進」を1つ作る

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この記事でお伝えした内容は、あくまで私個人の1年間の療養経験に基づくものです。ヘルニアの症状は個人差が大きいため、必ず主治医や理学療法士と相談してください。

ただ、健康経営の制度設計や、従業員の療養支援・復職支援の仕組みづくりについては、人事としての実務経験と自分自身の療養経験の両方からお伝えできることがあります。現場に合わせた制度の微調整が必要な場合は、お気軽にご相談ください。


アイキャッチ画像案: ベッドに横たわりながらスマートフォンで音声入力をしている人のイラスト。背景に「健康経営優良法人」の認定証がぼんやりと映っている構図。「制度だけでは守れない」というメッセージを視覚的に表現。

本文中の図解案:
1. 【急性期→慢性期の判断フロー図】痛みの段階に応じた対応を可視化
2. 【「治療一点集中」vs「並行構築」の比較フロー図】時間・お金・精神の3軸で比較

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