メタ情報
- タイトル(60文字以内): Coworkのスキル機能で業務を自動化する|実際に作った6つのスキル
- メタディスクリプション(120文字以内): Claude Coworkのスキル機能を使い、確定申告・コンテンツ変換・AI安全ポリシーなど6つの業務自動化スキルを構築した実録。スキルの設計思想、SKILL.mdの書き方、実運用の知見を解説。
- 推奨キーワード: Claude Cowork スキル / AIエージェント 業務自動化 / Cowork カスタマイズ / AI ワークフロー 自動化
- 推定読了時間: 約12分
- ターゲット: Coworkユーザー・AIエージェントで業務効率化したい人・コンサルタント・個人事業主
スキルとは何か
Coworkのスキル機能は、特定の業務に特化した指示セットを事前に登録し、呼び出すだけで実行できる仕組み。
たとえば「確定申告の経費を整理したい」と言うだけで、開業費の分類ルール、家事按分の計算方法、弥生への入力支援まで一気通貫で対応してくれる。毎回ゼロから説明する必要がない。
技術的には、SKILL.mdというMarkdownファイルに業務知識・判断基準・手順を記述し、Coworkの所定フォルダに配置する。スキルが呼び出されると、このファイルの内容がAIのコンテキストに読み込まれ、記述された知識に基づいて動作する。
なぜスキルを作るのか
AIエージェントは汎用的に賢いが、「自分の業務の文脈」は知らない。
たとえば、確定申告のスキルがなければ、毎回「白色申告で、開業費の任意償却をやりたくて、弥生を使っていて...」と前提を説明する必要がある。体調が30分しか持たない状況では、この「前提説明」に時間を使うのはもったいない。
スキルは「AIに業務知識をインストールする」行為。一度作れば、以降は呼び出すだけで専門的な対応が返ってくる。
実際に作った6つのスキル
1. kakutei-shinkoku(確定申告支援)
個人事業主・フリーランスの確定申告を支援するスキル。
対応範囲:
- 開業費・経費の分類と計算
- 家事按分(家賃・光熱費・通信費)の計算
- 固定資産の減価償却計算(白色申告は定額法のみ)
- 国保保険料のシミュレーションと軽減判定
- 弥生の白色申告オンラインへの入力支援
- 経費一覧Excel生成(openpyxlで自動生成)
- A4 PDF印刷用出力(reportlabで生成)
- 弥生の取引一覧との照合
- 九州電力(My九電)からブラウザ自動操作で電気代明細PDFを取得
設計のポイント:
- 開業費と経費の判定基準を表形式で明記。AIが迷わず分類できる
- 家事按分率の目安を業種別に記載(WEBデザイナー、コンサル、コーチング等)
- 国保の保険料計算式と軽減判定の条件を数式で記載。手計算をAIに委任できる
呼び出し例:「開業費を整理したい」「経費のExcelを作りたい」「按分を計算したい」
このスキルの価値は、確定申告の知識がなくても音声で「経費まとめて」と言うだけで、分類済みのExcelファイルが出てくること。税理士に頼む前の下準備が、寝ながら完了する。
2. output-converter(アウトプット変換)
Coworkセッションの会話を、公開可能なコンテンツに変換するスキル。
対応する出力形式:
- note記事(ブログ記事の下書き)
- X投稿(1〜3本のツイート)
- Obsidianメモ(思考整理・ナレッジ蓄積)
設計のポイント:
- 「1チャット1アウトプット」がルール。セッションが30分以上続いて公開物がゼロのとき、自発的にスキルが提案される
- AIとの対話で得た気づきは、公開しなければ自分の中で消える。このスキルは「チャットの満足感で終わらせない安全弁」として機能する
- note記事はデータ駆動スタイル(数字・表・比較を多用)で、エモーショナルなエッセイスタイルではない
呼び出し例:「今日の会話をまとめて」「ツイートにして」「noteに書きたい」
このスキルが生まれた背景:AIとの対話は楽しいが、それだけで終わると何も残らない。インプット(会話)をアウトプット(公開物)に変換する仕組みを強制的に組み込んだ。
3. ai-security-policy(AI安全利用ポリシー)
AIに何を渡してよいか/いけないかの判断基準を整理したスキル。
設計のポイント:
- データを「クラウドAIに渡してよいもの」と「ローカルAI解禁まで待つもの」に二分類
- クラウドOK:自分の情報、匿名化済み情報、公開情報の加工、ビジネスロジック
- ローカル必須:クライアントの個人情報、人事評価データ、健康診断データ、給与情報、企業の未公開情報
- コンサル・コーチング業務での具体的なOK/NGパターンを事例で記載
呼び出し例:「このデータをClaudeに入れていい?」「クライアント情報はどこまで使える?」
コンサルとして独立する以上、データの取り扱いは生命線。迷ったときにこのスキルを呼び出せば、判断基準がすぐ出てくる。
4. local-ai-roadmap(ローカルAI移行ロードマップ)
将来のローカルAI移行に向けた準備スキル。
設計のポイント:
- 現時点ではクラウドAI(Claude)を使っているが、人事データ・健診データなど機密情報を扱う場面では、ローカルAIが必要
- 移行の判断基準(いつローカルに移行すべきか)を整理
- 先行者利益を活かすためのノウハウ蓄積方法を定義
- プロンプトテンプレートの管理(将来ローカルAIに移植可能な形で蓄積)
呼び出し例:「ローカルAIはいつ使える?」「人事データをAIで分析したい」
5. yahoo-mail-collector(Yahooメール一括収集)
Yahoo Mailから特定の送信者のメールを一括収集し、Excel・Wordに整理するスキル。
設計のポイント:
- Chrome拡張(Claude in Chrome)と連携したブラウザ自動化
- setInterval制限を回避するdriveStep()パターンを使った信頼性の高い自動化
- ニュースレターのバックナンバー整理に有用
6. downloads-organizer(ダウンロードフォルダ整理)
散らかったDownloadsフォルダを自動で分類するスキル。
設計のポイント:
- ファイルの種類ごとにサブフォルダに振り分け
- ファイルの中身を見て適切な分類先を判断
- 不要なインストーラーや重複ファイルの削除を提案
スキル設計のフレームワーク
6つのスキルを作る中で見えてきた設計のフレームワーク。
SKILL.mdの構造
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name: スキル名
description: |
スキルの説明(トリガーワードを含める)
---
# スキル名
## 対応範囲
(何ができるか)
## 判断基準
(AIが迷ったときの基準を表形式で)
## 参照ファイル
(外部データの参照先)
## 手順
(具体的な作業手順)
## 注意事項
(やってはいけないこと)
設計の5つの原則
-
descriptionにトリガーワードを入れる:「確定申告」「開業費」「経費」「按分」「弥生」のように、ユーザーが使いそうな言葉を列挙する。これがスキルの自動呼び出しの精度を決める
-
判断基準を表形式で明記する:「開業費 vs 経費」「クラウドOK vs ローカル必須」のように、二者択一の判断基準をテーブルにする。AIが迷ったときの参照先になる
-
参照ファイルを外出しにする:商材データ、取引データなど変動する情報はSKILL.md内に書かず、別ファイルに外出しする。スキルのロジックとデータを分離する
-
具体的なOK/NGパターンを事例で示す:「こういう場合はOK」「こういう場合はNG」を、実際の言い回しで記載する。AIは抽象的なルールより具体例の方が正確に判断できる
-
自分の文脈を埋め込む:スキルには「なぜこのスキルが必要か」「自分のビジネスにおけるこのスキルの位置づけ」を記載する。AIが汎用的な回答ではなく、自分の状況に最適化された回答を返すようになる
スキルの作り方:skill-creatorスキル
スキルの作成自体をスキルで自動化している。skill-creatorというメタスキルがあり、以下に対応する。
- 新規スキルの作成(テンプレートからの生成)
- 既存スキルの改善・最適化
- スキルのパフォーマンス評価(evalの実行)
- descriptionの最適化(トリガー精度の向上)
スキルを作るスキル。再帰的だが、これによりスキルの品質が標準化される。
スキルが変えた業務の進め方
スキルを導入する前と後で、業務の進め方が変わった。
Before:毎回ゼロからの対話
りょう「確定申告の準備をしたい」
AI「はい、白色申告ですか?青色申告ですか?」
りょう「白色」
AI「弥生を使っていますか?」
りょう「はい」
AI「開業費はありますか?」
りょう「ある」
AI「開業日はいつですか?」
...(10往復以上の前提確認)
After:スキルが文脈を持つ
りょう「経費まとめて」
AI「(kakutei-shinkokuスキルが自動で読み込まれ、
白色申告・弥生・開業費の分類ルール・按分率すべてを
既に知った状態で応答する)
開業費と経費を分類しました。Excelファイルを作成しますか?」
体調が30分しか持たない状況では、この「前提確認の省略」が致命的に重要。10往復の前提確認で15分使ったら、実作業に使える時間が半分になる。スキルがあれば、1往復目から実作業に入れる。
スキルとコンサル業の接点
スキルの設計は、コンサル業務と本質的に同じだと気づいた。
コンサルタントがクライアントの業務を改善する際、やることは「業務知識の構造化」と「判断基準の明文化」。スキルのSKILL.mdに書いている内容は、まさにこれ。
違いは、コンサルの場合は「人」に知識を移転するが、スキルの場合は「AI」に知識を移転すること。しかし構造化・明文化のプロセスは同じ。
つまり、スキルを作る経験は、コンサルの実践演習になっている。クライアントの業務をヒアリングし、判断基準を整理し、手順を構造化する。この一連のプロセスを、まず自分の業務で実践している。
まとめ
Coworkのスキル機能は、「AIに業務知識をインストールする」仕組み。一度作れば、以降は呼び出すだけで専門的な対応が返ってくる。
6つのスキルを作る中で見えた設計の核心は、descriptionのトリガーワード、判断基準の表形式化、参照ファイルの外出し、具体的なOK/NGパターン、自分の文脈の埋め込み。この5原則でスキルの品質が決まる。
体調に制約がある場合、「前提確認に時間を使わない」ことが致命的に重要。スキルは、その時間を削減してくれる最も効果的な手段だった。
そして、スキル設計のプロセス自体が、コンサル業務の実践演習になっている。業務知識の構造化と判断基準の明文化。この経験は、クライアントの業務改善にそのまま転用できる。
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この記事について
- 執筆日:2026年3月
- サイト:ごろ寝サバイバル(gorone-survival.com)
- 著者:りょう
- 技術環境:Claude Cowork + スキル機能